「アドリブできるようになるためには、書き譜はしない方が良いんですよね?」
とよく生徒さんから質問をいただきます。
ジャズの言語に慣れるためには、
誰かのコピー譜を練習したり、
教則本に載っている書きソロを練習したりすることは、
とてもとても大切です。
しかし「自分で書き譜をすること」は、
これからアドリブを習得しよう!という方にとって少し危険な方法かもしれません。
書き譜はアドリブ初心者の方には危険な練習?
もし書き譜を作って、暗記して吹けるようになったとしても、
他の曲に適用させることは難しく、
また、コード進行と結びつけてフレーズを理解することが困難になります。
成果が見えにくいのに時間ばかりやけにかかる・・ということになってしまいます。
コードを見てパッといきなりソロをとれない、という方に
一番実践していただきたいのは、「頭の中で書き譜をする」方法です。
書き譜をするよりも、より速くアドリブができる人になれる方法
分類の仕方はこちらの記事を参考にしてみてください。
例えばAutumn Leavesのコード進行をこの考え方で分類してみると、
・Am7b5 D7b9のマイナーへ向かうツーファイブ
・Gmのマイナートニック
・Cm7 F7のツーファイブ
・BbMaj7のメジャートニック
というような感じになります。
この曲にはこの4種類のフレーズが必要、というのが分かります。
(この「分類」は紙に書き出して、しっかり整理してみると良いと思います。)
(この例の場合だと4種類のフレーズが必要)
フレーズの集め方はこちらです。
1つのグループに対して、(トニックとかツーファイブ)
2〜3パターンのフレーズを用意しましょう。
このとき、フレーズ自体は、五線譜に書いて、見ながら練習して良いと思います。
正しく吹けることが先決です。
さて、ここからが頭の中で書き譜のスタートです。
課題曲の「コード進行」も覚えて取り組むのがベストで一番の近道なのですが、
ハードルが高すぎる、という場合は、コード進行は見ながらで構いません。
例えば枯葉の場合、
下記のような感じで脳内書き譜をしていきましょう。
Cm7 F7のツーファイブ・・・さっき覚えたフレーズ、なんだったっけ?
確かAから始まるフレーズだったな・・あ、そうそうこれこれ、
次はトニックのBb△7・・さっきのツーファイブはEbの音で終わってるから、
半音隣のDから始まるこのフレーズを吹くとスムーズかな?
次の段はマイナーへ向かうツーファイブAm7b5 | D7b9か・・
このフレーズとあのフレーズ、どっちの方がスムーズかな?
このフレーズの一拍前に、Gを吹くとうまくつながりそうかもしれない・・
いや、ツーファイブじゃなくて、せっかくマイナーへ向かうツーファイブだし、
ディミニッシュスケールのパターンを試してみようかな?
こんな感じで、
フレーズを並べてみたり、間に音を入れてみたり、
選択肢をいくつも考えてみたり、
じっくり試行錯誤して、頭の中に書き譜を作っていきます。
作っていくうちに、
最初の方に何のフレーズを入れようとしたか忘れてしまうかもしれません。
そうしたらもう一度戻って考え直し。
他のフレーズに変えてしまっても良いかもしれませんね。
ワンコーラスできたら、バッキングに合わせて吹いてみましょう。
きっと、忘れてしまって出てこなかった箇所がいくつもあったり、
想定していたのではない別のフレーズを吹いてしまったり、
(結果的にそちらの方が良いことももちろんあります)
指がまわりにくいフレーズだったり、不自然だったり、、
そういう箇所に気づいたら、またバッキングを止めて、
練り直し。
実はこの作業をリアルタイムで行なっているのがアドリブなんです。
だんだん考えたり思い出したりするのが速くなって、
選択肢がパッといくつも浮かぶようになります。
考えられるようになるんです。
クレイジーだ・・と途方にくれるかもしれませんが、
頭の中書き譜を繰り返し行うことで、誰でもできるようになります。
誰でも、できるようになります。
最初は難しくてイライラするかもしれませんが、
必ずできるようになりますし、それが一番の近道となるんです。
手グセフレーズが出てきたら、書き譜が助けてくれる
危険ではありますが、書き譜という練習は意味がない、ということでは全くありません。
むしろ自分で書き譜をすることは、
アドリブがある程度出来るようになった人にとって、とても重要な練習です。
指慣れ・手癖でアドリブが取れるようになってしまうと、
ソロが雑になってしまいがちです。
バッキングが無くてもコード進行が聞こえるような、
美しいラインのソロを取るための訓練になります。
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