今日練習しているときに、ふとジャズ理論など全く知らなかったころの自分を思い出しました。
「あれ、なんだか急にアドリブっぽいことができるようになったぞ?」とおったまげた瞬間のこと、忘れられません。
鮮明に思い出したので、記事に書いてみようと思います。
なんでもいいと言われると、困る。
アドリブレッスンなど受けたこともなかったときのことです。
中学までは吹奏楽部で、高校から社会人ビッグバンドに参加し、週に一度のバンド練習日でアドリブソロをまわしてもらうようになりました。
まったくアドリブの方法を知らないので、半音階みたいなものを使って、適当に演奏していました。ビッグバンドだとソロの尺が決まっているので、自分が迷子になっていても曲はちゃんと進むのです。
自宅でもジャズマンのコピーをしたり、サックス&ブラスマガジンのアドリブコラムなどを読んだり、適当な曲を選んでマイナスワンと一緒に演奏してみたりしました。
しかしどれだけアドリブしようと試みても、ルールが無い状況では、もはや適当に演奏することさえ難しいのです。
なんの音をいつ出せば正解なのか、どうしたらソロらしくなるのか見当もつかず、という日々が続きました。
急にアドリブらしくなって興奮した日
とりあえず数ヶ月は、1人のプレイヤーのアドリブをいくつかコピーし、遊んでいました。ニュアンスや音色を真似して嬉しくなっていたんです。楽しかったなあ。
同じプレイヤーをコピーし続けると、なんとな〜く「この人よくこのフレーズ演奏するなあ。」というのが見えてきて。その人の常套句がいくつか口癖のように馴染んできました。
いまのようにコードとフレーズを照らし合わせて・・みたいなことは一切していない上に、コード進行も読めないので当然無視。
それでもなんとな〜く指に残ったフレーズを適当に組み合わせたり並べ替えたりして、マイナスワンに併せて演奏してみると・・。
「あ!すごい!いままでで1番ジャズのアドリブって感じ!Bebopって感じ!」
というように演奏できる瞬間がいきなり訪れて。
そのときの衝撃はいまでも忘れられません。
コード進行はいっさい無視しているので、きっといまの自分が聴いたらとんでもないデタラメを演奏しているに違いないのですが、
いままでなんの手がかりもなかったところから、いきなり8分音符のフレーズらしいものをズラズラと並べて演奏できるようになって、
そこに理論はないものの、自然とフレーズが出てくる感じ、その場でつぎに演奏するものを決める感じ、まったくのデタラメではない感じが心地よく、大変興奮したことを昨日のことのように覚えています。
人生初めてのアドリブレッスン 師匠の言葉
そうして
「理論は全く知らないけれど”適当に”演奏することはできるようになった。」
という状態が数ヶ月続き、ようやく人生初のアドリブレッスンを受けることになりました。
師匠の前で初めて演奏したアドリブは、Fのブルースのソロ。
師匠はニコニコしながら私の演奏する8分音符のリズムに「うんうん」とのってくださっていて、音を外すと「アチャー」とおどけたりして。プロの前で適当な演奏をして恥ずかしいなと思いながらも、嬉しい気持ちの方が大きかったです。
小さい子が自分の描いた絵を親に得意げに見せるように、「ここまで進んだよ、見て見て!」という気持ちだったのかなあ。とにかく楽しい気持ちでした。
初レッスンでの初演奏後、
「うん、とても良い感じだったよ!すごい良い感じに進んでいって、でも『あ〜惜しい!』って感じ。なんとかかんとか〜っと演奏したら『なんとかです!』って着地させることが大事。でもすごくよかったよ。これからがんばろうね。」
とおっしゃっていただき、「これからついに教わるのか〜やった〜」「いよいよ何かが始まるぞ!!」と人生で1番ワクワクしたことを覚えています。
この日のことを思い出すと、なにか大切なことに気付きそうな、そんな感じがします。
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