私が以前、次のような動画をアップした際、生徒さんから
「私はこんなにたくさん耳コピするのは無理そうです。
『耳コピしたフレーズを自分のモノにするために1万回ほど繰り返し練習している』と動画内でおっしゃっていましたが、私にはできそうもないです。」
とコメントをいただきました。
該当の動画は、私が9年間で耳コピしてきたアドリブコピー譜を全て公開した際の動画です。
この動画をアップしたことで、意図せず「耳コピをこんなに沢山やらなければアドリブはできるようにならない=アドリブは自分には無理」という間違ったメッセージをお伝えしてしまったかもしれないと思い、誤解を解くために記事を書いています。
実際には、耳コピを一切行わなくても、じゅうぶん本格的なジャズアドリブをとることができるからです。
この記事を読むと、耳コピできなくても、今日からすぐに自分らしいアドリブを構築する練習をスタートできます。
まずは「耳コピしなくても、じゅうぶん本格的なジャズアドリブをとることができる」
その理由をお話ししてゆきます。
耳コピしなくても、本格的なアドリブはできる
英会話に英単語が必要なように、アドリブをするには「ジャズの言語=フレーズ」が必要です。
アドリブはフレーズの組み合わせでできているからです。
ジャズアドリブ教則本 1/3巻 P.8 〜 P. 10 より引用

↓これらのフレーズを、曲中でこのように組み合わせてアドリブしています

つまり、アドリブは「ジャズレジェンドたちが築き上げてきたフレーズ」を持っていれば誰でもできてしまうのですが、そのフレーズを集める方法は「耳コピ」だけではありません。
アドリブに必要なフレーズを集める3つの方法
もちろん耳コピをするに越したことはないとは思います。
ですが、耳コピをしなくても、アドリブに必要なフレーズはじゅうぶん集められるんです。
実は、アドリブに必要なフレーズを集める方法は、全部で3つあります。
- フレーズ集から、練習中の曲に必要なフレーズを集める方法
- 耳コピして、練習中の曲に必要なフレーズを集める方法
- 市販のソロコピー譜から、練習中の曲に必要なフレーズを切り取って、集める方法
これからそれぞれの方法と、メリット・デメリットを詳しく解説してゆきます。
方法1:フレーズ集から、必要なフレーズを集める(最も簡単・おすすめ)
これが最も簡単で、そしてオススメの方法です。
私も、ジャズを始めて数年間は「フレーズ集」に大変お世話になっていました。
フレーズ集の使い方は簡単です。
いま練習中の曲に「 C△7 」が出てきたら、フレーズ集から「Cメジャーセブンス・フレーズ」を探す
↓
その中に気に入ったフレーズがあったら「Cメジャーセブンス・フレーズ」として1つストックする
(欲張らず、1コードに1フレーズに留めておくのが、コツ)
↓
練習中の曲のバッキング音源を流し、然るべきコード=C△7 が出てきたら、フレーズ集から選びストックしていた「Cメジャーセブンス・フレーズ」を演奏する
これだけです。
- 自分でフレーズを集める手間がない
- 耳コピできなくても、格好良いフレーズが集まる
というメリットの非常に大きい方法です。
「フレーズ集を使っていると、ズルをしているみたい・・」「自分らしいアドリブにならないのでは」と心配になる方もいらっしゃると思います。私もかつては「これって、人様がセレクトしたフレーズだよなあ」と思っていました。
これをゴールにしても、全く問題なく、自分の個性を活かしたアドリブをとることができます。
「好きなもの」は人と100%かぶることなんて、ありえないからです。
好きなフレーズを選んでいる=自分のセンスで選んでいる、と胸を張って、フレーズ集を使ってください♪

方法2:耳コピして、必要なフレーズを集める(最も難しいが効果大)
こちらが今回の議論となる「耳コピ」からフレーズを集める方法です。
結論から言って、耳コピするのはとても時間がかかります。
耳コピにも時間がかかりますし、そこからお気に入りのフレーズを取り出して、「メジャーセブンス・フレーズ」などの単位でストックし、アドリブに活かせるようになるまでには、私でも(毎日何時間も練習しても、という意味)3ヶ月くらいかかります。
1曲丸ごと or 気に入った部分だけ耳コピし、五線譜に音符と「コード名」を必ず書く
↓
その中に気に入ったフレーズがあったら取り出す
例:C△7 で演奏している格好良いフレーズ→ Cメジャーセブンス・フレーズとしてストックする
例:Dm7 G7 で演奏している格好良いフレーズ→ Dm7 G7 メジャーツーファイブ・フレーズとしてストックする
↓
練習中の曲のバッキング音源を流し、然るべきコード=C△7 が出てきたら、耳コピから取り出しストックしていた「Cメジャーセブンス・フレーズ」を演奏する
1曲丸ごと or 気に入った部分だけ耳コピし、五線譜に音符と「コード名」を必ず書く
↓
その中に気に入ったフレーズがあったら取り出す
例:C△7 で演奏している格好良いフレーズ→ Cメジャーセブンス・フレーズとしてストックする
例:Dm7 G7 で演奏している格好良いフレーズ→ Dm7 G7 メジャーツーファイブ・フレーズとしてストックする
↓
練習中の曲のバッキング音源を流し、その中に、今回ストックしたフレーズで使えそうなものがないか探す
もしくは「メジャーセブンス・フレーズ集」「ツーファイブ・フレーズ集」として、お気に入りのフレーズを仕分け、五線譜にストックしておく
デメリットは
という点です。
ですが、この「時間がかかる」という一見デメリットに見えるものが、素晴らしい結果に繋がります。
正しく音使い・アーティキュレーション・ニュアンスを耳コピするには、何度も繰り返し音源を聴かなければなりません。
何度も繰り返しジャズレジェンドの音源を聴くことで、「頭の中にジャズレジェンドの息遣い」が残ります。
これが、確実にアドリブに良い影響をもたらします。
◼︎コードを聴いたときに、不思議とそのフレーズが浮かぶ
など、長い時間かかってやっと感じられる効果かもしれませんが、アドリブの出来が全く違うんです。
私は YouTube にたくさんアドリブ動画をアップしていますが、やはり反応の多い演奏動画には、私が長年時間をかけてジャズレジェンドから抽出したエッセンスがたくさん詰まっています。
採った音が間違っている心配がある場合は、信頼する先生に耳コピした譜面が合っているか確認してもらうことも重要です。
方法3:市販のソロコピー譜から、必要なフレーズを切り取って、集める
すでにソロが掲載されている市販のソロコピー譜を使うのも手です。
市販のソロコピー譜を見ながら、音源を注意深く聴く
↓
その中に気に入ったフレーズがあったら取り出す
例:C△7 で演奏している格好良いフレーズ→ Cメジャーセブンス・フレーズとしてストックする
例:Dm7 G7 で演奏している格好良いフレーズ→ Dm7 G7 メジャーツーファイブ・フレーズとしてストックする
↓
練習中の曲のバッキング音源を流し、然るべきコード=C△7 が出てきたら、耳コピから取り出しストックしていた「Cメジャーセブンス・フレーズ」を演奏する
これのデメリットは、全てのソロ楽譜が市販されているわけではない、という点です。
私が思うアドリブの楽しいところは「自分が心の底から好きだと思うフレーズを、意思を持って組み合わせられたとき、最高な気分になれること」だと思うので、自分のコントロール外で、フレーズ採取の場が制限されるのは、少しデメリットだなと感じます。
フレーズ集でじゅうぶん、アドリブに必要なフレーズは集まる
ここまで3つのフレーズの集め方を書いてきました。
フレーズ集で、最初の数年間はかなりじゅうぶんすぎるほどの、お気に入りフレーズをストックできると思います。
◼︎よく出るキーから、必要なキーだけ
◼︎お気に入りフレーズだけ
◼︎各コードにつき、1つだけ(ツーファイブ1つとか、メジャーセブンス1つ)
上記を意識して、フレーズ集からフレーズをストックし、
コードが出てきたら、フレーズが条件反射でパッと頭に浮かぶように、トレーニングしてみてください♪
プロは皆んなこんなに耳コピしているの?
最後に「とは言っても、渋谷さんはこんなにたくさん耳コピしたんですよね」と不安に思う方に、お伝えします。
私はプロとして活動するためにここまで一生懸命耳コピを行いましたが、皆さんはここまで行う必要は全くありません。
これは私が「ソロ分析ヲタク」「フレーズヲタク」だからであり、途中からは「アドリブできるようになるため」という目的から外れ、自分の好奇心だけで行なってきたものです。それが「引くほどの耳コピ譜面の量」となった原因です。
ミュージシャンの先生方や、仲間からも「耳コピの量が尋常じゃない」「フレーズの量がおかしい」という声をいただきますし、自分でも異常なほど、耳コピをしていると思います。
実は、プロの中でも、耳コピの量はそれぞれ違います。
そのどれもが「その人に合っていて正しい耳コピ量」です。
「欲望を伴わぬ勉強は記憶をそこなう」
というレオナルド・ダ・ヴィンチの名言のように、自分が心から知りたいと思えないのに、ただ耳コピを繰り返しても、きっと脳内にストックされず、自分の地肉にはなり得ません。
つまり、プロを目指しているとしても、私ほどの量をただ紙に書き起こすのが正しいとは言い切れないということです。
音感が非常に優れた人や、記憶力に優れた人、また取捨選択に優れた人は「自分が絶対取り入れたい部分だけ」を、徹底的に聴き込み、紙に書かずともニュアンスなど含め、完コピしています。そして、それがさらに進むと、普段 iPhone などで音楽を聴いているだけでも、耳コピをしたのと同等の効果を得ているミュージシャンも沢山見たことがあります。
そんな人がいる一方、私は不器用で、隅々まで見ないと気が済まない性分なので、「憧れのプレーヤーの好きな部分を 1mm も逃したくない、でも集中して聴くために、すべて耳コピしちゃおう。どうせ使うし、忘れちゃうから全部紙に書いておこう。」と思ってしまうタイプ。
しかし、プロであれば、おそらく譜面に書き起こしていなくとも、私と同じかそれ以上に「音使い・ニュアンス・フレーズの選び方・アーティキュレーション」の研究を「耳」から行なっていることは間違いありません。
アドリブに使いやすいオススメのフレーズ集
まずは方法1でご紹介しました「フレーズ集の活用」がオススメです。
私の制作しましたフレーズ集には、
- フレーズが分かりやすく分類されていて、曲に使いやすい
- よく出るキー順になっていて、無駄がない
- 移調ではなく、コードごとに全て違う「格好良いフレーズ」のみを収録
という特徴があります。
かつて自分がフレーズ集を使用していたとき「こうだったら良いのに」と思っていたものを形にしました。
是非ご活用いただけましたら嬉しいです。
よく出るキー順ジャズアドリブフレーズ集:ツーファイブ&トニック編

よく出るキー順ジャズアドリブフレーズ集:ペンタトニック&3-6-2-5-1編








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